加圧BFRトレーニングでカラダに良いことが雪崩のようにおしよせる!

2022年09月16日

加圧BFRトレーニングを行うと身体は、化学的ストレスによってさまざまな変化を身体に起こしす。

今日はその加圧BFRトレーニングの効果についての最新情報をお伝えしますね。

なまらやばいから!(^^)v

 

目次

ダイエット効果

糖尿病とBFRトレーニング

BFRトレーニングでリハビリ

BFRトレーニングで動ける身体をいつまでも

BFRトレーニングと多発性硬化症・パーキンソン病

BFRトレーニングは腱を強化する

超高齢者のBFRトレーニング

ゼロ負荷でのBFRトレーニングの効果

BFRトレーニングとアルギニン

BFRトレーニングはスピードを向上させる

BFRトレーニングとミオスタチン

BFRトレーニングと体脂肪

膝の手術とBFRトレーニング

BFRトレーニングとケミカルなストレス

BFRトレーニングで筋力が増える

BFRトレーニングが痛みを減らす理由

BFRトレーニングと酸化ストレスの関係

 

BFRトレーニングでダイエット

運動を行うと成長ホルモンが分泌されます。

でも(乳酸)が発生しないと運動時の成長ホルモン分泌が起こりにくいから、現在の仮説では運動によって発生した乳酸が脳下垂体を刺激して成長ホルモンを分泌させるって考えられています。

四肢の血流を制限して行うBFRトレーニングは、筋肉の酸素利用が妨げられて無酸素系の解糖系のエネルギー生産が主となるから、乳酸が副産物として大量発生します。

だからBFRトレーニングは短時間の刺激で効率的に乳酸を発生させることができるんです。

 

実際にBFRトレーニングを、「1RM(1 repetition maximum)=最大挙上重量」のわずか20%の重量で30回→15回→15回の3セットを行っただけで、通常の3倍の成長ホルモンが分泌されます。

「成長ホルモン」は本来、カラダが大きく成長するときに分泌されるんだけど、同時に体脂肪を減らしてくれる作用があるんです。

脂肪を合成する「リポタンパクリパーゼ」という酵素は成長ホルモンによって阻害されるから、成長ホルモンが増えると体脂肪の合成が妨げるんです。

あと脂肪を分解する「ホルモン感受性リパーゼ」という酵素は、成長ホルモンによって活性化されるから、増加することで体脂肪の分解を増やすことができるんです。

さらに、BFRトレーニングは「ノルアドレナリン」の放出を促進します。

ノルアドレナリンもホルモン感受性リパーゼを活性化して、体脂肪の分解を増やします。

そして成長ホルモンが増えると、特に腹部の脂肪が減ることが知られています。

っと言うことは、BFRトレーニングで大量に分泌された成長ホルモンによって体脂肪の合成を妨げて、さらに体脂肪の分解を促進する事から、効率的なダイエットが期待できます。

 

生活習慣病の原因となるメタボは、腹部の脂肪が多いことが主な原因ですよね。

BFRトレーニングを行って成長ホルモンを分泌させ、腹部の脂肪を減らすことは、生活習慣病の予防そのものになるのんです。(^^)v

 

糖尿病とBFRトレーニング

糖尿病患者はインスリンの働きが悪いため、筋肉量が減ってサルコペニアとなる可能性が高いと言われます。

では糖尿病患者にとって、BFRトレーニングは有効な対策となりそうです。

BFRトレーニングは物理的な筋収縮によってGLUT4のトランスロケーションを促して、ブドウ糖の取り込みを高めることが示されています。

あとmTOR/p70s6kとp38MAPK/PGC-1αシグナル伝達経路を活性化することによって、タンパク合成とミトコンドリアのバイオジェネシスを促進することも知られています。

これらはどちらもⅡ型糖尿病患者にとって良い影響があると考えられて、筋肉内脂肪の酸化(エネルギーとして燃焼)を促進することで脂肪酸毒性も減少できると思われます。

そしてADPとATPの比率を変えてAMPKを活性化して、ミトコンドリアにおける脂肪酸参加を促進して筋肉内脂肪を減らす効果をさらに高めていきます。

以上を図で示したものが、次のイラストとなります。

 

実際にBFRサイクリングを週3回、6週間やることでGLUT4とNOの活性が増加して糖の利用が増加したという報告や、週2回のBFRトレーニングを8週間行うことでインスリンレベルとHOMA-IRが改善したという報告、メタボ患者が3ヵ月のBFRトレーニングを行ったところ、HbA1cが10%減ってLDLも8%減少したという報告もあります。

運動不足に伴って、糖尿病患者はこれからさらに増えてくると思われます。

その対策としてBFRトレーニングが脚光を浴びる日も近いかもしれません。

 

BFRトレーニングでリハビリ

BFRベルトの血流制限トレーニングの効果に「リハビリ」があります。

スポーツ時の不慮の事故で捻挫や骨折、じん帯の損傷、脳血管障害の後遺症で手足の麻痺や筋肉疾患が残ってしまった場合、「軽い負荷」「短期間」で現状を回復へと向かわせます。

フィットネスの現場のみならずトップアスリートのトレーニング現場、整体や整骨院、整形外科などの医療の現場で「軽い負荷」「短時間」

BFRトレーニングの筋力増強のメリットが活かされ、患者さんに幸せをもたらすことに成功しています。

痛みが強く動かせない

痛みがあり、動かすことができないような場合は、血流制限のみで効果があります。200mmHgの圧で5分、インターバルを1分。それを2回繰り返します。

痛みがあるが、軽く動かせる

痛みがあり、動かせる場合は、65mmHgの圧で、1RMの20%程度の重さでリハビリを行います。

 

【BFRトレーニングでリハビリ】※以下の症状での結果が期待できます。

・脳血管障害の後遺症

左手完全麻痺→2キロの鉄アレイが持てるようになった。

寝たきり → 1か月で歩けるようになった。

手足に麻痺 → 歩けるようになった。

 

・慢性関節リウマチ → 筋肥大

・捻挫・じん帯損傷 → 10週間で筋力が元の状態に戻る

・大腿骨頭壊死 → 血流がよくなり、状態改善がみられる。

・骨萎縮 → 6か月で萎縮の改善がみられる。

・前十字じん帯の断裂 → 手術前からのリハビリで短期間での改善

・疲労骨折 → 短期間での改善。

 

※ギランバレー症候群の研究中

BFRトレーナーズ協会では、2017年より里見悦郎先生を中心に、ギランバレー症候群の患者様にBFRトレーニングを用いたリハビリを行っています。

研究は5年、10年と時間がかかる作業ですが、途中経過は非常に良好です。将来の論文発表を待ちましょう。

 

BFRトレーニングで動けるカラダをいつまでも

高齢になるに従ってトレーニング効果は低下します。

でも生きていれば細胞が入れ替わり、トレーニングによってある程度までの筋肉は発達します。

一例として90歳代の被験者のトレーニングで、筋力が174%増加し、筋肉量は9%増加したという結果が報告されています。

BFRトレーニングでは、50歳以上を被験者として選んだ研究をまとめたシステマティックレビューにまとめています。

このレビューは1574本の論文から16週間以上に渡って行われた30本の論文を選び、分析したものです。

この中でBFRトレーニングは筋肥大や筋力向上、筋機能改善に効果があったと示されています。

 

あと2658本の論文から被験者が多い論文を11本抜き出して検討したメタアナリシスもあります。

この分析では低負荷でのBFRトレーニングやBFRウォーキングは高齢者に適した筋肥大・筋力向上のための運動だということが示されています。

このように数多くの論文でBFRトレーニングは高齢者に効果的であることが証明され、これだけの数の研究が行われていることが、安全であることを証明しています。

BFRトレーニングは20%1RM程度の使用重量でも十分に効果を出すことができますが、最近の報告では15%1RMでのトレーニングでも、70%1RMでトレーニングした場合よりも筋疲労効果やパンプアップ効果は強かったという結果が出ています。

高齢者のトレーニングやリハビリ目的での活用は、15%1RM程度の日常生活とほとんど変わらないような負荷でも、効果が得られる可能性があります。

今後のさらなる検証が待たれます。

 

BFRトレーニングと多発性硬化症/パーキンソン病

多発性硬化症(multiple sclerosis)は神経の髄鞘が斑状に脱髄する指定難病であり、日本にも約12000名の患者様がいるとされています。

原因としては自己免疫説が有力で、早期に治療しないと回復が難しいとされています。

BFRトレーニングを治療に用いた報告があります。

1)13年の多発性硬化症既往歴がある54歳女性に12週間のBFRトレーニングを行ってもらいました。

その結果、有害事象はなくFatigue Severity Scale(FSS ; 疲労の評価尺度)が改善し、またPatient-Specific Functional Scale(PSFS)という患者自身の自己評価による活動改善度においても、改善しています。

多発性硬化症は、疲労を訴えることが多いことから運動療法を進めていくことが難しいとされています。しかし軽い強度でのBFRトレーニングであれば忍容性も高く、継続可能であることがこの研究で示されています。

2)パーキンソン病患者様に6週間のBFRトレーニングを行っていただくと、下肢筋力と機能が向上し、RLS(レストレスレッグ症候群)を減少させ、参加者の生活の質を向上させることができたという報告がされています。

BFRトレーニングは筋力や筋肥大の向上のみならず、生活の質や健康レベルを高めることを可能にし、さらに難病からの回復に大きな効果が期待できます。

 

BFRトレーニングは腱を強化する

一般的に腱を強化するためには、ある程度強い負荷を与える必要があるとされています。

9名の被験者を使って12週間に渡り、週3回のレッグエクステンションを行わせた2006年の研究があります。片方の脚は80%1RMでの負荷、もう片方の脚は20%1RMで血流制限を行いました。

その結果、どちらも外側広筋の筋体積は同等に増加しましたが、高重量群では筋力と腱の剛性が増加したものの血流制限群では増加しませんでした。

ところが2019年に行われた55名を対象にした研究で、低負荷での血流制限群と高重量群とで同等の腱剛性、腱のCSA増加が起こったことが報告されました。

これは20%1RM~35%1RMでの血流制限群と、70%1RM~85%1RM群での高重量群、そしてコントロール群(トレーニングなし)に振り分け、アキレス腱を14週間に渡ってトレーニングさせています。

アキレス腱はケガの起こりやすい部位であり、高重量でのトレーニングはオーバーワークなどによるケガを引き起こすことが目立ちます。低負荷でのBFRトレーニングが腱の強化、治療に有効となれば、より安全なトレーニングプランを立てることが可能となります。

 

超高齢者のBFRトレーニング

高齢者におけるフレイルは大きな問題となっており、筋力トレーニングの必要性が叫ばれています。

しかし一方で筋力トレーニングは関節への負担があるほか、運動中の血圧を高めてしまうこともあり、慎重な適応が必要であることも指摘されています。

高負荷を避けることのできるBFRトレーニングは高齢者にとって有効だとされますが、超高齢者ではどうでしょうか。

変形性膝関節症のある99歳の患者を対象に、BFRトレーニングを週3回、合計24セッション行った研究があります。

その結果、外側広筋の断面積が12%、筋厚が8%増加しました。完全に血流を制限する圧力は右脚で170mmHg、左脚で150mmHgであり、運動時はそれらの半分の圧力で行いました。

つまり右脚は85mmHg、左脚は75mmHgということです。

動作は椅子に座った状態でアンクルウェイトを装着し、10~15回を3セット、インターバルは1分で行いました。15回3セットができるようになったら、次のセッションでウェイトを増やしていきます。

なお被験者はトレーニング開始2週目に尿路感染症になってトレーニングを1週間中断していますので、それがなければもっと良い結果が出ていたかもしれません。

99歳を対象にこれだけの結果が安全に出せたということは、超高齢者のフレイル予防・治療にもBFRトレーニングが役立つということが言えそうです。

67~92歳を対象にした研究でもBFRトレーニングによって平均7.5%の筋断面積増加が起こっており、高齢者を対象にした今後のさらなる研究が待たれます。

 

ゼロ負荷でのBFRトレーニングに効果はあるか

BFRトレーニングは一般的なトレーニングより遥かに軽い負荷で効果が得られることが通説です。

筋力や筋肥大の効果は20%1RMから、40%1RMで最大となることがいくつかの研究から導き出されているため、20%1RM~40%1RMの負荷で行うのが一般的なプロトコルとなっている。

軽いダンベルやペットボトルでも、ある程度は鍛えることが可能なのがBFRのメリット。

ではゼロ負荷ではどうだろう。

トレーニング経験者39名を対象に、安静時動脈圧の40%で5cmのカフを巻き、なにも持たずにできるだけ上腕二頭筋を収縮させながらカールを20回4セット行った研究があります。

インターバルは30秒。

その結果、カフを巻かなかった方と比較してBFRを行った方が運動後のトルク低下が著しく、また疲労感が高く、動脈閉塞圧もわずかに高くなっていた。

95%1RMという高重量でカールを行った場合、血圧は200mmHgを超えることがあるとの報告がありました。

しかしゼロ負荷で行った本研究では、BFRという負荷によってもわずかな血圧増加しか起こっていなくて、健康面での悪影響なしに疲労感を与えることが示されています。

BFRなしでゼロ負荷のトレーニングを行った研究もあります。

70%1RMでトレーニングした群と、ゼロ負荷で筋収縮をできるだけ強く行わせながらトレーニングした群とで18セッション後に比較すると、筋力は70%1RM群のほうが伸びていましたが、ゼロ負荷のほうも少しだけ筋力の増加が起こり、筋厚の増加はどちらも同等だったとされています。

これは非常に示唆に富む研究で、BFRでのゼロ負荷トレーニングに大きな可能性があることを予見させます。

今後の展開が楽しみです。

 

BFRトレーニングとアルギニン

BFRトレーニングを行うことでヒートショックプロテインや一酸化窒素合成酵素(NOS)が増加することが知られています。

一酸化窒素(NO)はmTORを活性化してタンパク合成を高めるため、BFRトレーニングによる筋肥大の作用機序として、NO合成増加がその一端を担っていることは確実です。

血管壁には血流による「ずり応力(shear stress)」が作用します。

血流が多ければshear stressは増加し、血流が少なければshear stressは減少します。

このときにshear stressを一定のレベルに保とうとする力が働き、shear stressが増加すると血管が拡がって血液を流しやすくし、shear stressが減少すると血管は狭くなって血液の流れは悪くなります。

BFRトレーニングは機械的にshear stressを増加させたり減少させたりします。

それによって内皮のDNA合成が刺激され、内皮細胞が増える可能性が指摘されています。

ほかにもヒスタミンやプロスタサイクリンなどの産生が刺激されたり、細胞外マトリックスの産生が促進されたりなどの影響があると言われています。

このときに大きく関係するのがアルギニンです。

アルギニンはNOの基質となり、NO分泌を増加させます。

つまり「BFR+アルギニン」により血管の機能が改善され、動脈硬化の予防や改善に役立つとされています。

 

アルギニンは摂取して60分後に血中濃度が最大となりますが、NOの増加が最大になるのは90分後くらいになるため、トレーニングの75分前くらいに飲むと良いでしょう。

この場合、プロテインと一緒に混ぜてしまっても構いません。

量としては4~6gで十分な効果が得られます。

 

BFRはスピードを向上させる!

軽い重量で高回数を行うBFRトレーニングは、テンポよく行うことが一般的となります。ゆったりとしたテンポで行うと運動時間・筋緊張時間が長くなり、30→15→15→15などのプロトコルで行うと、かなりきつくなってしまうはずです。

きつい状態を早く終えたくて、スピーディにレップスを繰り返す人は多いと思われますが、実は血流制限することによってレップを早く行えているという可能性があります。

トレーニング経験者11名(ベンチプレス1RMの平均101.8kg)を対象に、BFRなし(NO-BFR)と間欠的BFR(I-BFR),連続的BFR(C-BFR)の3群に分け、それぞれ20〜90% 1RM(10%ステップ)の範囲で負荷を増加させながら,2回の反復を8セット行いました。

インターバルは3分です。

その結果、ベンチプレスのバー速度はI-BFRとC-BFRにおいて、NO-BFRよりも12~17%向上したのです。

 

またBFRを行わない群と動脈閉塞圧(AOP)100%でBFRを行う群、動脈閉塞圧150%でBFRを行う群の三つに分け、70%1RMのスクワットを3回3セット行った研究もあります。

その結果、150%AOPでのBFR群において、明らかなバー速度向上がみられました。

さらにスクワット1RMが平均183.2kgの男性11名を対象に、BFRなし(NO-BFR)と間欠的BFR(I-BFR),連続的BFR(C-BFR)の3群に分け、圧力は約80%の動脈閉塞圧に設定して、2レップスのスクワットを40〜90%1RMで6セット行った研究があります。

この結果、バー速度は向上しなかったものの、低下もしなかったとのことでした。

おそらくはカフの張力がネガティブ時に働いてスピードを高めていると思われますが、これらの結果は化学的ストレスが与えられている中でもスピードを落とさず、むしろ爆発的レジスタンストレーニングの強化として利用できる可能性を示しています。

 

ミオスタチン

生命にとってタンパク質は非常に重要な栄養素で、タンパク質は骨や内臓、ホルモン、神経伝達物質、酵素などの材料になり、生命を維持するために使われます。

これらと比べると、筋肉の存在というものは、生命維持においてそれほど必要性が高くなく、可能な限り筋肉にタンパク質が使われないように、本当に必要な箇所にタンパク質を使えるようにしたいものです。

その役割を担っているのがミオスタチンです。つまりミオスタチンは筋肉が増えないようにする物質です。

ミオスタチンはTGF-βというサイトカインの仲間で、ActRⅡBという受容体に結合してからSmad2とSmad3のリン酸化を介してSmad 4の活性化と核内移行をもたらします。

これによってAktが抑制されてmTORも抑制されます。

さらにActRⅡBの活性化はRas→Erk1/2やTAK1→JNKシグナルの活性化、TAK1→p38MAPKの活性化をもたらして、MyoRやMyogenin などの発現を低下させます。

一言で言うと、ミオスタチンが筋肉の増加を抑制してしまうことを覚えてください。

そしてBFRトレーニングはミオスタチンを減らすことを可能にします。

つまり血流制限によりmTORが活性化してタンパク合成が亢進するとともに、ミオスタチンが減少して筋減少を抑制できるんです。

なお下肢動脈疾患(LEAD)患者にたいするBFRトレーニングの効果を評価した論文では血流制限によりミオスタチン低下・S6キナーゼ活性化によるタンパク合成亢進のほか、成長因子の増加やヒートショックプロテイン、NO合成酵素の濃度上昇、血管新生などが起こるとされています。

 

体脂肪

BFR(血流制限)により、mTORが活性化されて筋発達が起こり、ミオスタチンが阻害されて筋増加の抑制が取り除かれる、この両方の経路によって筋発達が起こるということはお判りいただけましたね。

今回はBFRによって体脂肪の減少が促される話をします。

さて体脂肪の減少は脂肪細胞内の中性脂肪が「脂肪酸」と「グリセリン」に分解され、脂肪酸が血中に放出されることがスタートです。

このときに使われる酵素は「ホルモン感受性リパーゼ(HSL)」で、アドレナリンやノルアドレナリン、成長ホルモンなどのホルモンによって活性化されます。これらのホルモンが多く分泌されることによって体脂肪の分解がスタートするのです。

血流を制限すると心臓は血液をさらに流そうとします。血圧を高め、心拍数や拍出量を増やします。この作用を担っているのがアドレナリンとノルアドレナリンです。

血流制限トレーニングによって、これらのホルモンが実際に増加することが確認されています。

またBFRにより、テストステロンとコルチゾルの比率が改善されるという報告もあります。

30名の健康な男性を対象に20%1RMでのBFRトレーニングを15回3セットやった群と80%1RMで10回3セットの普通トレーニング群とで比較したところ、コルチゾルのレベルは同等だったものの、テストステロンレベルはBFR群のほうが高くなったという結果が出ています。

 

65歳以上の成人男女を対象に半年間に渡って「ウォーキング+階段上り」群と「BFRでウォーキング+階段上り」群とで比較した研究があります。

どちらもウォーキングは普段より早めのスピードで30分間を週3~4回以上。階段上りは5階以上を週4回以上。

そしてBFR群だけ週1回ラボに来てもらい、20分間のトレッドミルBFRウォーキングをやってもらいました。BFRの圧力は100~120mmHgです。

その結果、どちらの群も同じように体脂肪の減少や筋肉量の増加が起こり、特に有害な事象はありませんでした。

こうした研究では明らかなBFR群の優位はみられませんが、ボディビルダーやフィジーカーはコンテスト前に集中的なBFRトレーニングを行うことによって、明らかな体脂肪減少効果が起こっています。

「あと一絞り」を目指す方はぜひお試しを。

 

 

成長ホルモン

BFRトレーニングによってノルアドレナリンのレベルが高まり、テストステロンとコルチゾルの比率が改善されます。

有名な「成長ホルモン」について解説します。

成長ホルモンはホルモン感受性リパーゼ(HSL)という脂肪分解酵素を活性化することにより、体脂肪減少に働きます。

BFRトレーニングが体脂肪減少に効果的な理由として、血流制限でのトレーニングによって乳酸が普通のトレーニングよりも多く発生し、それによるシグナルが脳下垂体に伝わって成長ホルモンが分泌されるという仮説があります。

これは本当なのでしょうか。

男性を対象に行ったBFRトレーニングでは、成長ホルモンの分泌が明らかに高まったとする報告が数多くあります。

ただし女性を対象にした研究は、あまり多くありません。

男性に比べて女性は安静時の成長ホルモンレベルが高く、またピルを使っている場合は運動時の乳酸増加が著しくなることがわかっています。

13名の健康な女性を対象に20%1RMで30回→15回→15回のBFRトレーニング(レッグエクステンションとレッグプレス)を行わせたところ、トレーニング前は平均で2.00ng/mlだった成長ホルモンがトレーニング後には6.23ng/mlにまで増加しました。

乳酸の量はトレーニング前で平均1.46mmol/Lだったのがトレーニング後で4.02mmol/Lとなっています。

圧力は軽めからはじめ、20mmHgずつ増やして最終的に200mmHgまで増やしていきました。

ただし普通の高重量トレーニングをしたほうが反応は良く、成長ホルモンは2.09ng/mlだったのが8.43ng/mLへ、乳酸は1.33mmol/Lだったのが7.35mmol/Lになっています。

ここではレッグエクステンションとレッグプレスを80%1RMで10回3セット、インターバルは1分です。

この研究では高重量トレーニングは追い込むところまでやり、BFRトレーニングではあまり追い込まなかったということが結果に関係している可能性もあります。

重要なのは20%1RMで、高重量トレーニングに匹敵するホルモン分泌が得られるということです。

特に成長ホルモン分泌が低下している高齢者の場合は、軽い重量でのBFRトレーニングを行うことで、安全に効果を得ることができます。

膝の手術とBFRトレーニング

BFRトレーニングがリハビリに有効なことは周知のこととなっていますが、その有効性を証明するためにはエビデンスの蓄積が必要となります。

この度、膝の手術におけるBFRトレーニングの有効性について初のシステマティックレビューとメタアナリシスが行われました。

前十字靭帯再建術(n = 10)と膝関節鏡手術(n = 1)を含む11件の研究が対象となり、術後にBFRを使用することで、筋萎縮を定量化する際の断面積が有意に改善されることが示されました。

術前におけるBFRトレーニングは特に有効性は示さなかったようです。

また論文のうち4本は筋力の増加も報告されていました。

残念ながら患者が報告するアウトカム指標については、対象となった研究間で有意な差は認められなかったそうです。

手術はしていない膝関節症の患者を対象に行われたシステマティックレビューとメタアナリシスもあります。

8本の論文をもとにしたシステマティックレビュー&メタアナリシスでは、通常の大腿四頭筋強化プログラムと比較して、機能と筋厚の改善に同等の効果があったいっぽうで、膝の痛みが少なく、ビジュアルアナログスケール(白紙に100mmの線を引き、一番左を痛みが全くない状態、一番右を最高に痛い状態とする)において22mmの追加効果があったそうです。

高齢化社会に伴って、膝関節症や膝の手術を受ける人は増えてくるはずです。

予防のためにも治療のためにも大腿四頭筋の強化が必要となりますが、BFRトレーニングはそのための良い選択肢となりうるでしょう。

 

ケミカルなストレス

筋肉が発達するのは「ストレスへの適応」によるものです。

ストレスが弱いと適応反応が起こらないために筋肉は発達しません。

逆にストレスが強すぎると副腎疲労などを起こし、ケガや体調の悪化を引き起こします。望む筋肉のために大切なことは「適切なストレスを与える」ことです。

ストレスとは、人間の身体に備わる「ホメオスタシス」(恒常性維持)という機能、血圧や体温、血糖値などが一定の範囲内で維持されていますが、これらホメオスタシスを乱すような刺激が与えられて起きる現象のことです。

「ストレス」には大きく「物理的ストレス」「化学的ストレス」があります。

重いウェイトを使って行うトレーニングは筋肉に物理的・メカニカルなストレスを与え、BFRトレーニングの軽いウェイトで行うトレーニングは、筋肉に化学的・ケミカルなストレスを与えます。

BFRトレーニングで与えるケミカルなストレスについて、簡単に説明をします。

1)BFRトレーニングが身体に与えるストレスは、通常時より酸素濃度が低下することによって起こります。これは四肢の血流を制限することで筋肉にヘモグロビンが到達せずに、組織に酸素が行きわたらない状態になるからです。

2)酸素が使えないときに、私たちの身体のエネルギー通貨となるアデノシン三リン酸(ATP)は「無酸素代謝」によってつくられます。無酸素代謝のことを「解糖系」と呼びますが、解糖系は最終的にピルビン酸や乳酸などの「酸」を作り出します。酸が増えると、組織内のpHが低くなります。このpHの低下、すなわち酸性化もストレスとなります。

3)低酸素状態で筋肉を動かすことで、ATPを産み出し筋肉のエネルギー源となる「クレアチンリン酸」も一気に減少します。この状態もストレスです。

これらの化学的ストレスによって、筋肉はストレスを感じ、適応しようとして大きく発達します。

 

BFRトレーニングで筋力が増える

BFRトレーニングで筋肉量が増えることはすでに周知の事実です。その一方で根強く残る「筋力を高めるためには、高重量でトレーニングすることが必要」という困った常識です。

さて、どうしてBFRトレーニングで筋肉量が増えるのかもう一度おさらいをしましょう。BFRトレーニングは血流を制限するために酸素濃度が低下し、解糖系が優先されるため、速筋繊維が主に使われることから、軽い重量でも速筋繊維が使われ筋力が向上します。

以下は、興味深いエビデンスを紹介します。

◎20歳から80歳の男女にお願いをして、高重量トレーニングとBFRトレーニングで筋力の向上について調査しました。

結果は筋力増加に違いはありませんでした。

 

◎高重量トレーニングは神経系の発達も起こるため、軽い重量でのBFRトレーニングよりも強く筋力増加が起こるはずが、結果は軽い重量のBFRトレーニングでも神経系はある程度の発達が起こります。中でも高齢者は高重量でのトレーニングを適用しにくいため、特にBFRトレーニングが有用となりそうです。

◎合計238名の高齢者を対象に、軽い重量のトレーニングやウォーキングにおいてBFRトレーニングによる血流制限を行いました。すると筋力を有意に改善することが明らかになりました。

◎前十字靭帯再建手術を行った患者様28名を対象に、70%1RMでレッグプレスと30%1RMでBFRレッグプレスを行った群とで比較をしました。

その結果、どちらも同等に筋力と筋肥大が起こり、BFR群では膝の痛みや浸出液が70%1RM群よりも少なかったことが観察されました。

 

 

BFRトレーニングが痛みを減らす理由

BFRトレーニング、もしくは動かさずに単にベルトを締めるだけであっても、鎮痛作用が発揮されることは経験的に知られています。

しかしどのようにして鎮痛作用が起こるのかは、今のところ不明です。

40% VO2maxの低強度有酸素運動と、弱い圧での低強度有酸素運動、強めの圧での低強度有酸素運動、70% VO2maxの高強度有酸素運動をそれぞれ行わせ、運動前と運動5分後に痛覚閾値(PPT)を測定しました。

さらにβエンドルフィンと2-アラキドノイルグリセロールの血中濃度を運動前と運動10分後に測定した研究があります。

25名の若い男性を対象に、非BFRと動脈圧の40%でのBFR、動脈圧の70%でのBFRを72時間空けてそれぞれ行い、血中乳酸濃度や成長ホルモン、テストステロン、IGF-1レベルを測定した研究があります。

なお動脈圧の40%は平均で78.8mmHg、70%は平均で137.8mmHgでした。

使用重量は30%1RM、レッグエクステンション&カールを6セット行い、各セットは15レップス、ポジティブとネガティブどちらも3秒かけて行いました。

インターバルは1分です。

その結果、70%圧でのBFR群で成長ホルモンとテストステロン、そしてIGF-1の顕著なレベルアップがみられました。

IGF-1はインスリン様成長因子のことで、インスリンに構造が似ており、これも名前の通り「成長」を引き起こすホルモン様物質です。

この図の通り、70%圧だとIGF-1が顕著に高まり、テストステロンは40%圧でも十分に高まっていることがわかります。

もちろん成長ホルモンも高まっており、平均78.8mmHgでも十分であることが示されています。

被験者が若い男性であることから、強めの圧に反応しやすいということも考えられます。

 

今回は若い被験者でしたが、高齢男性ではどうなのかも興味の持たれるところです。今後の研究展開に期待しましょう。

 

BFRはテストステロンも増やす

筋肥大や筋力向上において有効とされるホルモンの代表が、テストステロンと成長ホルモン、そしてインスリンです。BFRトレーニングで成長ホルモンが多く分泌されることは知られていますが、テストステロンとはどうでしょうか。

25名の若い男性を対象に、非BFRと動脈圧の40%でのBFR、動脈圧の70%でのBFRを72時間空けてそれぞれ行い、血中乳酸濃度や成長ホルモン、テストステロン、IGF-1レベルを測定した研究があります。

なお動脈圧の40%は平均で78.8mmHg、70%は平均で137.8mmHgでした。

使用重量は30%1RM、レッグエクステンション&カールを6セット行い、各セットは15レップス、ポジティブとネガティブどちらも3秒かけて行いました。

インターバルは1分です。

その結果、70%圧でのBFR群で成長ホルモンとテストステロン、そしてIGF-1の顕著なレベルアップがみられました。

IGF-1はインスリン様成長因子のことで、インスリンに構造が似ており、これも名前の通り「成長」を引き起こすホルモン様物質です。

この図の通り、70%圧だとIGF-1が顕著に高まり、テストステロンは40%圧でも十分に高まっていることがわかります。

もちろん成長ホルモンも高まっていて、平均78.8mmHgでも十分であることが示されています。

被験者が若い男性であることから、強めの圧に反応しやすいということも考えられます。

今回は若い被験者でしたが、高齢男性ではどうなのかも興味の持たれるところです。

今後の研究展開に期待しましょう。

 

BFRトレーニングと酸化ストレスの関係

血流制限により虚血再灌流障害が起き、酸化ストレスが発生するということは資格取得講座を受けた方ならご存知だと思います。

では普通の高強度トレーニングと比べて、酸化ストレスの割合は高いのでしょうか。

身体活動が活発な男性27名(ウェイトトレーニングは未経験)を対象に、8週間に渡ってトレーニングを行わせた研究があります。

通常トレーニング群はバーベルカールを75%1RMで6セット、90秒のインターバルで週3回行います。

BFRトレーニング群は動脈閉塞圧の50%(平均107~108mmHg)でやる群と、動脈閉塞2圧の100%(平均232mmHg)でやる群とに分けました。通常群もBFR群も各セット、限界まで行うようにしました。

その結果、どの群も同様に筋力と限界までのレップスが増加しています。

TRADが通常トレーニング、PRが50%圧、TRが100%圧。そしてグルタチオン(GSH/GSSG比)や白血球のアポトーシス(MMPとカスパーゼ-3)を測定したところ、通常トレーニングや100%圧で酸化ストレスが大きくなり、50%圧では酸化ストレスはあまり起こらないことが判明しました。

そして筋力やボリュームロードは同程度に向上しているわけですから、軽い圧でのBFRは健康的に筋肉を鍛えるのに役立つということがわかります。

同様の研究は他にもあり、30%1RMで軽い圧でのBFRは酸化ストレスを高めず、高強度のトレーニングは酸化ストレスを高め、圧の高いBFRもやはり酸化ストレスが高めるようです。

軽い圧でのBFRトレーニングの普及によって、高齢者の健康的なフレイル改善が期待できますね。

 

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